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first created: 2003-10-22
last modified: 2003-10-22

2003-10-22

china, astronaut, and oda

politics and freedom

中国が有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げに成功したのは15日のことだった。翌日、1日足らずの飛行を終え、中国で初の有人宇宙飛行を行った中国人民解放軍の飛行士 楊利偉 は内モンゴル自治区に着陸、無事帰還した。
» 中国初の有人宇宙船、打ち上げ成功 米、旧ソ連に次ぎ3カ国目 (Web Sankei)
» 飛行士、内モンゴルに帰還 中国初の有人飛行成功 (Web Sankei)

アメリカ・ロシアに次いで3ヶ国目となる有人ロケットの成功は日本のメディアでも大きく取り上げられ、基本的にはその成功を祝う論調が殆どだった。そして中国の経済成長とこの有人飛行成功をリンクさせ、これで実質的に超大国の仲間入りした中国、宇宙開発では日本を大きく引き離した中国を畏敬の念で報道するもの、逆に後れをとった日本の宇宙開発を批判するものが多かった。せいぜい、中国がこの宇宙開発を人民解放軍主導で行ってきたこと、民生利用だけではなく軍事に利用される可能性をちらっと伝えたに過ぎなかった。

海外のメディアでもその成功を祝う論調が多く、例えばBBC NEWSChina puts its first man in spaceで中国の有人宇宙飛行成功を伝え、Tributes for China's first spacemanで成功に賛辞を送る各国の反応を伝えている。「はぁ〜?」である。さすがにFinacial Times (FT) はその社説 Beijing boldly goes (subscriber only) でこの有人飛行が共産党政権の単なるshow-offに過ぎない、国家の威信のためだけに行われたものと論破し、中国がそんなせこい理由で宇宙開発を行うのではなく、地球という惑星のために行うのであれば、世界はもっといい場所になるよと皮肉っていた。

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先週の土曜日、いつものようにThe Economist最新号が届いた。表紙にはCongratulations, Chinaと大きく書かれ、その下に(So, no need for any more aid, then?)と書かれていた。「おめでとう、中国」(それじゃ、もうこれ以上援助は必要ないよね)って感じである。ほんと英国的な皮肉だ。しかしこれこそ、中国に多額の無償・有償援助 - ODA(政府開発援助) - を行っている日本が言いたかったことである。

親米・反中国の色が濃い産経新聞ですら、その社説 【主張】中国宇宙船 気がかりな軍主導の開発 の最後で

人間を宇宙軌道へ送り込む高度の技術を持ち、宇宙船打ち上げに多額の資金を投入できる国に、なお政府開発援助 (ODA) が必要なのか。納税者の素朴な疑問である。また、国民が一体感を共有できるような国家プロジェクトを日本政府としても考える必要があるのではないか。

と疑念を発するにとどまり、10月16日付のコラム産経抄」でこんなに国力をつけた大国に、財政難で苦しむ日本がなぜ援助を続ける必要があるかと叫ぶのが精一杯である(末尾のそれより何より、誇り高い中国国民に日本が“援助”なんぞ失敬千万の行為ではないかという一文が不愉快なほど右傾化した2ちゃんねるのスレッドに見られる発言とあまりに酷似していて笑えたが)。

それをThe EconomistはまずそのLeader China's space programme: Congratulations, China (subsciber only) で中国が第三世界の国で初めて有人宇宙飛行を成功させたことを讃えながら、この成功が中国の国民に対する国威発揚に利用されることと別に大きな問題 - 毎年18億ドル(2000億円)にのぼる外国からの援助(その大部分が日本からの援助)は必要か - を提起し、

[It] (China) may still be a poor, if fast-growing, economy but if it chooses to spend its money on space travel there can be no good reason for outsiders to subsidise that choice.

と、中国が急激な経済成長を達成しながらも未だ貧しい経済であることは確かだが、そんな貧しい国が有人宇宙飛行を行うことに金を費やすのであれば、外国がその中国政府の選択に対して補助金を出すうまい理由なんてひとつもないと主張している。まったくもってその通りである。

さらにThe Economistは記事 China: Great leap upward (subsciber only) と China in space: Ground control to Colonel Yang で、中国が今回の有人宇宙飛行を国内の国威発揚に利用しただけではなく、経済成長の陰で増大する貧富の格差や市場経済を取り入れ、自由な経済活動が奨励されているのに対し、自由な政治活動や思想の自由といったものが殆ど改善されない状況から国民の目を逸らすために使われていること、今回、まさに共産党支配という非民主的、全体主義国家の一例を示すべく秘密裡に行われた有人ロケットの打ち上げが衛星ビジネスには少しは役立つかもしれないが、科学的には殆ど意味をなさないことを伝え、中国を批判している。

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これまで毎年数千億円も予算に計上されてきた中国に対するODA(政府開発援助)に対する疑念はこれまでも国会でも取り上げられてきた。チャイナスクールが主導権を握る外務省の見解では、中国に対するODAは 中国が改革・開放政策の下で安定と発展を確保し、そのような中国との間に安定した友好関係を築いていくことが、我が国のみならず、アジア太平洋ひいては世界の平和と繁栄につながるとの考え方に立ち 行われてきた、中国の国民が日本の経済援助についてまともに知らされていないではないかという批判には、2000年に設置された対中ODAに関する懇談会「21世紀に向けた対中経済協力のあり方に関する懇談会」の提言を十分考慮に入れ、国民の皆様が納得し、支持できるような援助を実施していくために、今後ともできる限りの努力をしていきたいとしている。» 最近のトピックス: 日本の中国に対する政府開発援助(ODA)について(外務省)

政府は中国に対するODAをやめるつもりはさらさらないようだが、日本国内に高まる中国ODA廃止の動きに敏感に反応した中国は有人宇宙飛行とODAといった開発援助は矛盾しない、中国はまだまだ発展途上国であると二枚舌で日本に揺さぶりをかけている。» 有人宇宙飛行とODA受け入れ矛盾せず・中国外務省 (NIKKEI NET)

政府のODA予算はここ最近、経済不況から毎年減ってはいるものの、2003年度予算でも政府全体で8,578億円、外務省のぶんでも5,165億円が計上されている。ODAは軍事的な圧力をかけることが許されない日本にとって、外交上、他国への影響力の行使という点で確かに重要なものである。まぁ、簡単にいえば、日本は今まで金で影響力を買っていたということだ。

しかし、実際のところ、そのODAが日本国内のゼネコンや商社への仕事の斡旋が目的に利用され、インフラ整備を重点にした日本の開発援助は期待した以上に相手の国にも感謝されず、無駄に使われてきた。また、ODAは外交ツールとして使われてきたが、その国の民主化や財政の健全化に役立つことは殆どなく、税金や不明朗な財政投融資で資金が拠出され、どれだけの効果が合ったのか非常に疑問である。

それに対して外務省はODA改革として「ODA改革・15の具体策について」や政府開発援助大綱の見直しなどを発表、国益に沿った、透明性の高い、国民の理解を得られるような開発援助を目指すとしている。それならばさっさと核兵器を持ち、共産党以外の政党すら認めていない、平気でチベットを侵略する非民主主義国家中国に対するODAはやめるべきではないか。

中国に対するODAが日本の中国に対する戦後補償の一環として行われてきたのは有名無実だ。この暗黙の了解は日本が中国に対して戦後、ODAによって3兆円を超える補償を行ってきた事実を対外に知らしめることもできず、中国は中国でその事実を国民に伝えようともしない。

1972年の日中共同声明と1978年に結ばれた日中平和友好条約で中国は日本に対する戦争賠償請求を一切放棄した。本来、戦後補償は必要ないと考えられるが、ODAなんていう方法で戦後補償を行うのであれば、堂々と払えるだけ払えばいい。その代わり、核兵器を持った超大国、相変わらず政治的には全体主義国家以外の何ものでもない、自由の失われた中国にODAを行ってはならない。

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