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first created: 2003-09-19
last modified: 2003-09-19

2003-09-19

filtering web contents

computer and internet

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9月16日から@niftyはWebフィルタリングサービス - Webフィルタ for Kids - をスタートさせた。10月末まで無料ということなので、早速申込み、試してみた。» 特定Webサイトの閲覧制限サービス 「Webフィルタ for Kids」を提供開始(@nifty ニュースリリース)

@niftyのWebフィルタリングサービスといっても、実際のところ、デジタルアーツが提供するISP向けのWebフィルタリングソフト i-フィルター Active Edition を利用するに過ぎない。これは先行してサービスを始めていたBIGLOBEWebフィルタリングサービスとまったく同様のものである。相変わらず@niftyは親会社の富士通と同じ電機メーカーとなるNECの子会社 BIGLOBE のサービスの尻を真似っこしている。

ISPではほかにOCNが同様のフィルタリングサービス OCN プロテクト を提供している。これはサーフモンキー・アジアの製品を使ってフィルタする仕様のようだ。僕はOCNの会員ではないので今回はこのサービスを試すことができなかった。一番安いダイアルアップ会員で400円の料金コースしかなかったものだから、わざわざ入会する気にもならなかったからだ(悪いけれど、spamに毅然とした対応を取らないOCNは勘弁)。

@niftyといえば、このサービスを始める以前からproxyによるフィルタリンクサービスを提供していた。このサービスとの違いは単なるproxyによるフィルタリングではエロページを見ようとする子供を止めることができない、つまり、単にブラウザにproxyを設定するだけなので、わかる子供であればproxyを解除してしまえばそれだけである。しかし、今回のサービスではWindows XPや2000であればマルチアカウントに対応しているため、それぞれのユーザに別々の設定ができ、また、子供でも「小学生用」「中学生用」「高校生用」とかなり細かく設定できるのだ。

実際に試してみた感想だが、やはりWebコンテンツのフィルタリングは難しい、ていうか、フィルタリングは不毛な技術に過ぎないのではないかと思った。キーワードや目視によるWebサイトのカテゴリ分けで確かにポルノサイトやrotten.comのようなグロサイトをブロックできるかもしれないが、結局、どんな意味で書かれているのかをコンピュータはなかなか理解することができず、また、目視によるWebサイトのカテゴリ分けでも、その作業の労力は大変なものだ。

例えば、「小学生」 (png, 49244 bytes) の設定でポルノサイトや2ちゃんねるYahoo!掲示板といった掲示板やチャットのサイトをほぼ完全にブロックすることはできたが、2ちゃんねるの入り口はカットできても、なぜか ニュース速報+ のスレッド一覧を見ることは可能だったし、さらにそのスレッド自体も閲覧可能だった。また、ギャンブルサイトである InterCasino JAPAN のページも表示させることができた。結果は「中学生」 (png, 49395 bytes) でも「高校生」 (png, 49450 bytes) でもほぼ同じだった。

実を言えば、僕はフィルタがもっと厳しいと思っていた。例えば、このWebサイト muffy.jp でも コンドームについて語ったWebページ幼児ポルノの過度の規制を批判したページ 、さらにロリムトー (no more spams!) のspamを公開したページは引っかかり、「i-フィルター Active Editionによりこのページはブロックされました」 (png, 32001 bytes) なんてページが出てくるものと期待していた。しかし、フィルタは思った以上に穴だらけだった。

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有害コンテンツ(雑誌でもビデオでもそうだが、「有害」ってひとくくりするのは大変危険だ)を子供に見せないようにフィルタリングの導入を啓蒙している財団法人インターネット協会フィルタリング情報ページ(そのページには「フィルタリングでインターネットをもっと楽しく」ってあるけれど、フィルタリングって子供からすれば楽しみを奪っていることになるのだが...)によると、フィルタリングツールはソフトウェアやWebアプリケーションを含めてかなりある。» 日本語対応フィルタリング財団法人ニューメディア開発協会

そこで今回、個人向けフィルタリングソフトウェアとして IQSCYBERsitter5SymantecNorton Internet Security を、Webサービスとして検索ポータル goo の子供版 キッズgoo も試してみた。アスキーソリューションズSurfControl Web Filter も体験版をダウンロード・インストールしてみたが、NIC上でパケットをsniffしてフィルタする仕様からか重たくて重たくてWindowsが不安定になり、すぐにアンインストールしてしまった。

URLリストとしてはかなり不完全なものだったが、@niftyやYahoo!といった結果はこのようになった。主要サイトのほかに下品な掲示板として2ちゃんねる、そしてセックスについての相談などが真面目に語られている掲示板 セックス・口コミ 掲示板ケセラスタイル) を選んだ。また、このWebサイトに加え、ホロコースト否定派と歴史修正主義者(日本でいう自由主義史観派)を言論の自由という観点で擁護したbigbrother.jpにあるblog記事 ホロコーストを否定して何が悪い! をフィルタにかけてみることにした。記事は勿論真面目なのものだが、表現に問題があり、どのように動作するのか試してみたかったからだ。

ほかにエロサイトや先に出たギャンブルのサイト、そしてハリウッド大通りで俳優ヒュー・グラントのちんぽをくわえて彼ともども捕まった売春婦 Divine Brown について紹介したWebページ(裸の画像やグロ画像はない。しかしこれはrotten.comにある。)、さらに 爆弾の作り方を懇切丁寧に教えてくれる英語のWebサイト日本語の掲示板ザ掲示板) を選んだ。そして、セックスとはまったく関係ない音楽バンド セックスマシーン のWebサイトをダミーで加えてみた。結果はキッズgoo以外かなり残念なものだった。

キッズgooはとにかくなんでも閲覧不可だった。たぶんURLリストプラスWebページ上の言葉をフィルタリングしているだけなので、ちょっとしたページでも表示できないようだ (png, 34273 bytes)。これこそフィルタリング(検閲)の王道を行くといった感じだ。しかし、興味深いことにここもギャンブルサイト InterCasino JAPAN を止めることはできなかった。» InterCasino JAPAN on キッズgoo

SymantecのNorton Internet Security (NIS)についたコンテンツをフィルタする保護者機能は複数アカウントやマルチユーザに対応、細かい設定もできるので機能的にはなかなかだと思う。標準の設定(大人)ではエロサイトを含め殆どのページをスルーしてくれた。しかし、これをいちばん厳しい子供に設定すると途端に見られなくなると思いきや、アダルトサイトである Punyu2 Munyu動画ファイルナビゲーター を見事に表示してくれるなど子供の欲求不満にきちんと応えてくれる。

IQSのCYBERsitter5は設定の細やかという点ではNISに劣りがちだったが、そのフィルタリングはまぁまぁだった。標準ではセックスやギャンブルといったサイトをブロック、これに掲示板やチャットを含めると2ちゃんねるは勿論壊滅、また、禁止語句が出てきたところからHTMLを読み込まないとする利用者の気持ちを逆撫でにするような仕様が気に入った。例えば punishing paedophiles ではストーリーの冒頭数行でぶった切られていた。

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以前、Slashdotで、勝手に「反社会的」サイトと区分されてしまった話 Webフィルタリングソフトの考える「反社会的」サイトとは とか アメリカの児童保護法案に関するストーリー 米国で『児童オンライン保護法』に合憲判決 があった。

最初のストーリーでは、サポートセンターに勤める人間のストレス発散の場であったサポセン・コムトレンドマイクロの法人やISP向けフィルタリングサービス InterScan WebManager (ISWM) で「反社会的」サイトにカテゴライズ(製品Q&A)されていた話が紹介されていた。サイト運営者によると、その理由はサポセン・コムが「個人、企業、グループを誹謗・中傷する意見を掲載するサイト」となっており、それが「反社会的」と判断されたというものだった。» サポセン・コムは反社会的サイトなのか?(サポセン・コム)

サポセン・コムのWebmaster、Hiromiが提起した問題、 トレンドマイクロ社がサポセン・コムに勝手に「反社会的」サイトというレッテル貼りを行い、そのことをサポセン・コム以外の第三者に伝えることは逆にサポセン・コムに対する中傷・侮辱行為ではないか という問題は非常にdebatableである。Webコンテンツのフィルタリングが検閲という問題を常に孕んでいるのに加え、そのURLの分類が当該Webサイトに対して中傷となりうる可能性を示しているわけだ。

フィルタリングする側の論理としては、データベースに登録されたサイトを見られるように管理者側で例外URLの設定を行えること(いわゆるホワイトリスト)で押しつけられたポリシーを回避するようにとなっている。しかし、これでは検閲の問題は回避できるかもしれないが、中傷・侮辱の問題は手つかずである。

僕はあるサイトを「反社会的」とカテゴライズすることが別にそのサイトへの中傷とは思わない。それは言論の自由のなかに含まれることだと思う。そしてそのサービスが民間企業で採用されているだけであれば、またはISPからひとつのオプションサービスとして提供されているだけであれば、まったく問題ないことだと思う。ISWMによってすべてのコンピュータからのアクセスを禁止されるわけではないのだ。

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Webコンテンツのフィルタリングは企業内でのアクセスコントロールや家庭での有害情報のフィルタに使われる範囲であればそれほど目くじらを立てる問題ではない。問題なのはそれが公共の機関で用いられた場合だ。» 大阪府がフィルタリング

大阪府はネットカフェや図書館といった公共・公衆にあるInternetへの接続が可能な端末に対してフィルタリング義務を謳った条例 (pdf, 22625 bytes) を今年の7月から施行している。» 大阪府青少年健全育成条例大阪府子ども青少年課

条例自体は批判が相次いだからかかなりソフトな表記となっている。別に罰則規定もなく、努力を促しているだけなので、それに従わなくても痛くも痒くもなさそうだ。

第3章インターネット利用環境の整備
(インターネット上の情報に係る努力義務)
第23条 インターネットを利用することができる端末装置(以下「端末装置」という。)を青少年に利用させるために設置する施設の管理者その他端末装置を公衆の利用に供する者は、当該端末装置を青少年の利用に供するに当たっては、フィルタリング(インターネット上の情報について、一定の条件により、受信するかどうかを選択することをいう。)の機能を有するソフトウェアの活用その他の適切な方法により、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある情報の視聴を防止するよう努めなければならない。
(助言及び周知)
第24条 府は、前条の規定に基づく取組についての必要な助言を行い、及び同条に規定する方法の周知に努めるものとする。

さて、先のSlashdotの2番目のストーリー 米国で『児童オンライン保護法』に合憲判決 がここで出てくる。これはアメリカ連邦最高裁児童インターネット保護法案 CIPA, Children's Internet Protection Act (ALA, アメリカ図書館協会) に対して合法との判決 (pdf, 765861 bytes) を出したことから論議を呼んでいたものだ。» 図書館へのフィルタリングの義務付けに合憲裁定、反対派は猛反発 (HotWired Japan)

この法律は全米の図書館にフィルタリング義務を課し、行わないところは補助金をやらんというものだ。ALAはフィルタリングソフトの非信頼性 - つまり、ブロックする必要のないWebサイトまでフィルタしてしまうことで言論の自由を侵害し、逆に図書館側が訴えられる危険性からこの法律に反対、裁判に訴えていたのだ。6月23日の最高裁判決では6-3で2審の違憲判決を覆し、大人の付添人がフィルタを外すように求め、それが可能であれば問題はないとしてこの法律を合法と判断した。勿論、ALAは即座にこの決定を批難している。» ALA denounces Supreme Court ruling on Children’s Internet Protection Act (ALA)

大阪府でもこのアメリカのケースでも、そもそも公共の場で子供や青少年が見ては有害と思われるWebの情報を公共機関がコントロールする権利があるのか、検閲する権利があるのか、そしてフィルタリングソフトの動作次第でフィルタされてしまう正統なWebサイトの言論を無視してまでも導入する必要があるのか、非常に非常に疑問である。

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今回、この簡単な調査でわかったのはフィルタリングソフトの有効性よりはその非信頼性だった。そして、やはりどのWebサイトが「有害」なのかどうか、「反社会的」なのかどうかは閲覧する側が実際に判断することだと強く思った。

フィルタリングを導入するしないは個人の判断である。しかし、公共機関がフィルタリングという検閲行為を行うことは間違いだ。公共の場でエロサイトを見ることは恥ずかしい、それがふさわしい行為ではないことを僕らはわかっているはずだ。それはエロ漫画を堂々と電車のなかで読んでいる者を滅多に見かけないことからもある程度その価値観は守られているものと思う(夕刊紙やスポーツ紙のポルノ記事を堂々と読む中年じじいは嫌悪されてしようがない)。

一部の者の反良識的な行動から良識ある人間の権利を奪い取ることは許されない。青少年を保護するのであれば、フィルタリングソフトを導入するのではなく、例えばモニタリングによって一時的にプライバシーを侵害する方法の方がベターと僕は思う。

モニタリングではコストがかかってしようがないって?権利や自由を侵害するくせにフィルタリングソフトの導入なんていうコストのかからない手軽な方策で済ませようなんて甘い。侵害するだけの重荷は背負ってもらわなければ困る。

道頓堀で死者

miscellaneous

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一昨日、阪神優勝に沸く大阪でついに死者が出た。大阪ミナミの戎橋から24歳の若い男がおよそ6m下の道頓堀川に落ち、そのまま溺れて亡くなった。» 道頓堀にダイブ…会社員水死 欄干で背中押され転落? (Sankei Web)

案の定、言わんこっちゃない、だから飛び込むなと言っていたんだ、という商店会や次期選挙で自民党からの支援を受けられそうにない大阪府知事 太田房江 は大声をあげていた。しかし、今回の事件は阪神優勝後の乱痴気騒ぎから2日後、べろんべろんに酔っぱらっていた青年が中年おやじに欄干から突き落とされたという話である。自発的に川に飛び込んだわけではないのだ。

死因は溺れて水を飲み込んだことによる窒息死である。別に浅い川底に頭をぶつけたわけでもなく、大腸菌がうようよする汚い水で死んだわけでもない。酔っぱらいが溺れて死んだ、それも誰かに落とされて死んだというだけである。溺死といえば、30cmしか張ってないバスタブでも酔っぱらっていれば溺れることがあるぐらいだ。

フジテレビスーパーニュースの昨日の放送で、木村太郎が小沢一郎の著書「日本改造計画」の話を持ち出していた。その本のなかで柵や注意書きのないナイアガラの滝を見て、日本の自己責任に対する意識の希薄さ小沢を痛感した一節が書かれており、今回の事件で行政に責任を押しつけるようなことはするなよと木村は語っていた。

まさにそれは木村太郎の言うとおりである。しかし、今回の事件は優勝当日、道頓堀川に5300人ものばかが飛び込んだのにもかかわらず、数人が公然猥褻の現行犯で逮捕された以外、死者が出たり、ひどい怪我人が発生することもなかった。その2日後、さすがに飛び込み熱は冷めた戎橋でひとりの男性が亡くなるとは。この運命のいたずらの方が非常に気にかかった事件だった。

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