2003-09-07
第60回ベネチア国際映画祭: 「座頭市」監督賞受賞
北野武(つまりビートたけしのことだが)の新作「座頭市」 (OFFICE-KITANO) が第60回 ベネチア国際映画祭(英語サイト)で監督賞(銀獅子賞)を受賞した。北野武がベルリン映画祭で受賞するのは1997年、HANA-BIで金獅子賞を受賞して以来だ。
» 北野「座頭市」に監督賞 ベネチア国際映画祭 (Sankei Web)
» Russian film wins Golden Lion (BBC NEWS)
正式なプレスリリースによると、ベスト映画にあたる金獅子賞にはロシアのAndrej Zvjagintsevによる父親と思春期の子供を描いた映画 Vozvrašcenje (The Return) が、2位にあたる審査員グランプリ・銀獅子賞はレバノン生まれの映画作家 Randa Chahal Sabbag による Le Cerf-Volant (The Kite) が受賞、さらに最優秀男優賞にはイラク戦争批判で相変わらずハリウッドを干されたままのショーン・ペンがメキシコのAlejandro González Iñárrituと組んだ 21 Grams で受賞している。ちなみに 21 Grams の監督は9月11日のアメリカ同時テロをテーマに作られたアンソロジー映画 11'09''01 - September 11 のなかの1エピソードも監督している。ショーン・ペンもいちばん出来のいい作品をそのアンソロジーのなかで発表していた。» september 11 - short films
日本のメディアはこのたけしの快挙を手放しでお祝い、たけしを必至に持ち上げることだろう。と僕はなんだかたけしに批判的な書き方をしているが、実を言えば今回の時代劇「座頭市」には期待するものがないわけではない。今までのたけしの映画では考えられないような露出度で予告編がテレビで流れている。その予告編にある村人がタップダンス!をするシーンにはかなり興味を惹かれた。この映画がエンターテインメントしても(観客賞も受賞している)、芸術的にも遜色がなく、ベネチアの当地で評価が高いのもむべなるかなと思った。
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北野武が「その男、凶暴につき」で監督デビューを果たしたのは1989年のことだ(1998年に松竹を社長である父親とともども解任されたプロデューサー 奥山和由 の最大の功績は芸人に過ぎなかったビートたけしの才能をこの映画で開花させたことだろう)。鮮烈でリアルな暴力描写が話題となり、静と動のコントラストが強烈なたけし独特のフィルムワークは停滞する日本映画に新鮮な風を吹き込んだ。
その後も「3-4x 10月」 (1990)、「あの夏、いちばん静かな海。」 (1991)、「ソナチネ」 (1993)、「キッズ・リターン」 (1996) と精力的に映画を発表、ついに1998年、「HANA-BI」でベルリン映画祭金獅子賞を受賞、日本のマスコミが言う、いわゆる「世界の北野」になったわけだ(僕はすぐ何か国際的に評価されると「世界の...」とつける日本のマスコミが嫌い。すごく田舎臭い島国根性を感じる。)。
「HANA-BI」の成功後(興行的成功ではない、たけしも自嘲するように彼の映画が当たらないのは定説であった)、勢いで今度はカンヌ映画祭に「菊次郎の夏」 (1999) を正式出品、しかし受賞は逃した。そこで今度は気分を入れ換え、たけしが俳優としてフィルムデビューを果たした「戦場のメリークリスマス」の製作者 英国のジェレミー・トーマスと組み、ハリウッドで「BROTHER」 (2001) という日・英合作映画を撮る。この映画は彼のナルシズムが悪い方向に発揮されてしまった駄作だった。
その失敗に懲りたかどうかはわからないが、去年、「Dolls」で再度ベネチア映画祭に正式出品、大した評価もないまま手ぶらで帰ることとなった。そして今年も彼はベネチアにかつて勝新の当たり役だった「座頭市」を引っ提げて乗り込んだわけだ。
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今回の受賞で黒沢に次ぐ巨匠の地位を固めたと言える北野武だが、彼は常に不振を極める日本映画界からは芸人出身監督ということで冷遇されてきた。僕はビートたけしという芸人自体それほど面白いとも思わないし、好きではなかった。だから彼が映画を撮ったとき、保守的な映画人と同じような意識で彼を見ていたと思う。
しかし、実際に「その男、凶暴につき」を見たとき、その意識を変えざるを得なかった。彼は素人監督だったかもしれないが、その映画は停滞し、殆ど死に体の日本映画にはまったくない魅力を放っていた。
映画「座頭市」も時代劇であれど盲目のやくざ「座頭市」の話ということでいつものテーマと重なる部分も多いが、髪を染めた座頭市にタップを踊る村人という話だけで十分に期待させられる。そして彼がエンターテインメントを撮ったのがよかった。
「座頭市」で今回ベネチアに乗り込んだことを、時代劇にしておけば"samurai"とか"harakiri"といった日本のイメージに弱いヨーロッパ人の審査員の受けがいいからだとか言って批判する向きがあったり、時代劇にタップダンスを取り入れたことに拒否反応を見せる頭の固い(悪いとも言う)人間がいるようだが、これだけの創造性を持って映画を撮れる人間が映画界からではなく殆ど独立系の芸人出身監督から生み出されれたことは、また、今夏「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」なんていうフジテレビ製作の映画が実写映画として日本興行収入記録を塗り替えた(スポニチアネックス)ことからも、そして興行収入記録といえばアニメがそのトップにいるということからも日本映画のダメダメぶりを象徴している。
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漫才という権威を笑い飛ばすエンターテインメント出身の北野武がいくら畑違いの映画を撮っているからといって端から見ても異常なほどにベネチアやカンヌといった映画界の権威に取り憑かれているさまは見ていて確かに愉快ではない。しかしこれは母親である北野サキが亡くなった際、その葬式で周りの目も気にせず号泣していたたけしの姿に違和感を感じた - お笑いで生きてきたたけしならば愛する母親がいなくなったとしても僕らの前では笑い飛ばしてほしい - ことと同じである。
漫才をやっていたビートたけしという人間、相変わらずブラウン管のなかでしようもないおふざけを演じているビートたけしこそ仮の姿で、彼の本当の姿は良質の映画を生み出すひとりの映画人であり、映画人であれば必ず夢見ることであろう主要映画祭での受賞を願うひとりの監督であり、エクセントリックなことは無縁の人間なのだろう。ただ漫才での成功が先にやって来ただけに過ぎない。■
福岡ドームに5万人(嘘)
毎日新聞によると、昨夜、福岡ドームで行われた ダイエー・西武戦 でダイエーは観客を5万人と発表、しかしそのすぐあと、収容人員48000人を超えて発表したことで消防法違反になることに気がつき、48000人に下方修正した。» プロ野球:満員だと消防法違反? 観客数を少なく訂正(毎日新聞)
おそらく、チケットは売れ切れ状態にあったので、チケットなしでわざわざ球場まで足を運んでくれたファン2000人に当日券を売り出し、席はないけれど立ち見かスポーツバーで見てねということだったのだろう。しかし、この行為自体がまずかったわけだ。消防法に触れるのを怖れ、すぐに発表を訂正したものの、2000人ぶん追加で売り出したけれど、実を言うと自由席に空きがあってちょうど2000人ぶん少なかった、という言い訳はかなり厳しい。ていうか、誰も信じない。
そもそも、観客数を水増しするプロ野球の観客数は1993年にスタートしたJリーグが有料入場数を端数まで発表し始めてからさらにその水増しが目立ち、観客数というデータの意義を失ってきた。いくら18年ぶりの優勝を目の前にした阪神が290万人を突破して年間入場者数の球団記録を更新 (Sankei Web) したと発表しても、その数字が正しいかどうかはまったくわからない。但し、観客水増し発表part12(2ちゃんねる)によると阪神の水増しは殆どないようだ。
連続満員記録に終止符が打たれるのではという記事 (SANSPO.COM) が踊った今季不調の巨人がいくら東京ドームが連日満員と発表しても、一時はギネス申請まで検討された大記録
からその数字のいかがわしさは球団自体もわかっているようだ。プロ野球の盟主さえこんな状態だから、パリーグの雄、ダイエーが本当は36000人ぐらいしか入らないものを48000人と発表していることなど大して不思議ではない。毎日新聞の記事では福岡中央消防署が事情を聴くらしいので、そのとき球団はどちらの数字を申告するのだろうか。■









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