2003-07-29
風邪と冷夏と東京電力
この1週間、ひどい夏風邪に悩まされている。最初は咳が止まらないなと思っていたら、次の日の朝、喉が詰まるように痛くなっていた。軽く熱を感じ、頭痛もあった。しかし、その風邪も薬を飲み始めてから少しずつ治まり始めた。こんなに本格的に風邪をひいたのは本当に久しぶりだ。少なくともこの1年間、記憶にはない。
おそらく風邪をひいたのも何もかけずに寝ていたからだろう。うちにはタオルケットというものが存在せず、毛布が2枚、そして掛け布団があるだけだ。勿論、夏に毛布では暑すぎる。一方の毛布は薄いものだが、これはmuffyのベッドに敷かれており、残念ながら僕は使うことができない(そう、うちでは基本的にmuffyがいちばんなのだ)。そうなると何もかけずに寝てしまうことになる。
さらに長梅雨の影響からか今年の夏は冷夏だ。7月に入って30度を超えたことはないのではないと思う。もう8月というのに、今日も過ごしやすい一日だった。朝晩、「冷え込む」ことも少なくなかった。
しかし見方を変えれば、夏らしい天気がやってこない代わりに、日中でさえもエアコンをかける必要がない、特にmuffyにとっては最高の夏と言える。そして、今年の冷夏は昨年の杜撰検査発覚から迷走を続ける東京電力(TEPCO)にとっても最高の夏となっているはずだ。
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昨年8月に内部告発によって発覚した東京電力による検査での原子炉ひび割れといった事実の隠匿、データを不正に書き換えたりしていた事件は世界最大の電力供給会社である東京電力の企業としての信用だけでなく、国の原子力行政に対する不安を増大させるきっかけとなった。» 特集:原発トラブル隠し、相次ぎ発覚(日本経済新聞)
原子力発電所が乱立する福島や新潟の地元の東京電力に対する不信感は並々ならぬものがあった。その地元の圧力に東京電力は次々と原子炉を止め、点検作業に入る。そして東京電力は今年に入り、このままの状態で夏になれば最大電力に供給量が間に合わないと警告、僕らに節電を促し始めた(お願いと彼らは言うが)。
先月の終わり、TEPCOは でんき予報 なるコメディに近い、しかし彼らにとっては大真面目な予報を提供し始めた。いつまで経っても本格的な夏が到来しない7月、そして企業や自治体の節電効果があったからか、今月は最大電力が供給量を上回ることはなさそうだ。
しかし、そもそもいい加減なことをして、いや、いい加減と言うだけでなく、データを改竄するという悪質な暴挙に出た東京電力が一般企業に不必要な負担を課し、僕たち利用者や(薄明かりのなか一時を庁舎で過ごさなければならなくなった)東京都のかわいそうな職員たちにお願いするということ自体が茶番だ。
このまま多くの原子力発電所を停止したまま普通にこの夏を乗り切ってしまった場合、原子力なんて必要ないじゃん、って言われるのを怖れて"black out" 「停電」の不安を煽っていると見る謀略論者もいるが、今こそ僕たち国民が原子力の是非も含めたこれからの電力の未来を真剣に考えるときと思う。
原子力に反対するならPCのプラグ抜いて、エアコンもつけるなと賛成派は叫ぶ。原子力に反対する者は非現実的な手法 - 例えばソーラーや風力 - ぐらいしか提示することできず、化石燃料への回帰によって引き起こされであろうさらに深刻な地球温暖化問題を賛成派にを突っ込まれれば沈黙するしかないという現状にはうんざりする。
代替エネルギーを示すのは難しい。しかし、原子力エネルギーがいくら化石燃料を使用した発電に比べてクリーンなエネルギーとはいえ、ひとつのミスがとんでもない危険な事態を引き起こす原子力に未来はない。国はいつまでも現在の原子力政策を推進していくのはなく、代替エネルギーの開発に金と力を注ぐべきだ。新たに新幹線や高速道路に金を注ぎ込むよりこっちに金を使った方がずっと将来のためになる。新たな代替エネルギーが見つかるまでは原子力を維持するのはやむを得ないことだろう。核武装するためにも原子力発電所は必要だ。
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The Economistの7月19日号ではLeaderに Energy policy: Fact and fission(subscriber only) という記事があった。末尾に
The good news is that Japan, following European and American examples, is liberalising its power industry, which should make it more efficient and more reliable. Why not let the state-owned, but highly safety-conscious, Electricite de France take over Japan's nuclear plants?
とあった。いい知らせとして最近、日本が欧米と同じように電力の自由化を進めていることを挙げ、電力業界をさらに効果的に、かつ信頼性の高いものにするはず、そして国営だが安全性の高いフランス電力公社が(安全性に疑問のある)日本の原子力発電所を運営したっていいじゃないかと冗談気味に曰っているのだ。目から鱗が出る意見、さすがThe Economistと笑ってしまった。■