log
first created: 2003-07-28
last modified: 2003-08-01

2003-07-26

イラク特措法に反対

politics and freedom

→related stories:

日本のイラク復興支援のために(つまり自衛隊のイラク派遣実現のために)臨時国会に上程されていた イラク復興特別措置法(通称 イラク特措法) が参議院を通過、成立した。» イラク特措法成立 静かな本会議採決−−怒号の委員会でお疲れ?毎日新聞

自由党との合流決定で勢いづく民主党を始めとする野党は牛歩戦術を使ってまで法案成立阻止を目指した。参院外交防衛委員会での強行採決時には立法府の品格を相変わらず無視した自由党の森ゆうこと議員と呼ぶのも憚られる自民党大仁田厚とのプロレスごっこスポニチアネックス)もあったが、実際のところ、これは単なるデモンストレーションに過ぎなかったようだ。

イラク特措法の概要を読むと、この法律による活動は国連安保理決議第1483号を踏まえ行われるとある。しかし、もし自衛隊がイラクに派遣されれば、今までカンボジアや東チモールで平和維持活動に従事してきた自衛隊が始めて国連のブルーヘルメットを被らずに海外に赴くこととなる。

******

日本政府はこれまで国連中心主義を掲げてきた。勿論、国連中心主義と言いながら、イラク侵攻を決定・実行したアメリカやイギリスを支持したことからもわかるとおり、実際には日米同盟を中心にしてアメリカのポチとして支援してきた。イラクに対して効果的な施策を取ることができなかった国連の失敗を見ても、国連だけでは国際紛争を解決し得ない現実に柔軟に対応していると言えばなかなか心地よく聞こえるが、事実、国連が平和維持に失敗し、結局は国連すら大国の軍事力に頼らざるを得ないことを考えると当然のことだろう。

イラク特措法に反対する理由として、社民党のように護憲の観点から自衛隊の海外派遣自体に反対という単細胞的なもの(第156回通常国会の閉会にあたって(談話))から、民主党のように、米英によるイラク攻撃自体が国連の決議なく行われ、また、大量破壊兵器が見つかっておらず、その正当性が証明されていないなかで自衛隊の海外派兵が行われること、政府の非戦闘地域と戦闘地域の線引きの曖昧さといったものがある。» イラク特別措置法案の通過に当たって(談話)(民主党)

ちなみに法律では「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」において実施することと自衛隊は非戦闘地域でのみ活動すると明示されている。このことからもイラク特措法がただ自衛隊をイラクに送り込むという目的のために妥協して作られたものであることは明白だ。

どうしてイラクに自衛隊を派遣したいのか、それはアメリカの求めに応じ、尻尾を振っておきたい(北朝鮮があるからね)、国連の枠から外れた自衛隊の海外派遣を既成事実化したい、そしていずれは集団的自衛権の行使を視野に入れてのことかもしれない。どんな理由であれ、根本的に間違っていることがある。それはカンボジアや東チモールでの平和維持活動でも避けてきた問題 - 憲法と自衛隊の存在にある。

******

日本は憲法第9条ではっきりと軍備を否定している。自衛隊という軍隊はあのだらしない条文を何度読み返そうとも違憲であることは確かだ。百歩譲ってこれまでの政府見解 - 自衛権は国際法上認められているのだから自衛隊は合憲 - に沿ったとしても、日本国の自衛ためにのみ存在する軍隊が海を渡り、イラク(カンボジアでも東チモールでも同じだ)に派遣されるのは明らかに違憲だ。

政府は国際平和協力法外務省)やテロ対策特措法内閣官房)を通し、憲法の問題を国民に問うこともなく危うい憲法解釈で自衛隊の派遣を実現してきた。それは勿論、政府だけの責任ではなく、国民が憲法問題を避けて通ろうとする姿勢にも問題がある。

しかし、いい加減僕らは真剣に考えるべきだ。僕らが国際社会に背を向けて行くというのであればいざ知らず、実際のところ、世界の安定、日本の国益のためにも日本が世界に出て、経済的にも軍事的にもそれなりの役割を果たす時代であることは誰もがわかっている。そして、実際にイラク派兵が行われるかどうかは別としても、イラクに自衛隊を派遣することは法律的には可能となった。ところが、戦争終結後もゲリラ攻撃が散発し、また、治安の悪いイラクに派遣される自衛隊は軍隊として必要以上の制限を加えられて赴かねばならない。

保守派がアメリカにおもねるばかりにイラク特措法に無条件で賛成する姿は見ていて不快だ。僕はこんな曖昧な存在でイラクに派遣され、仮に先頭で死ぬ兵士(自衛隊員って言うのか)が不憫でならないし、自衛隊に戦死者が出た途端、一般の日本国民に戦争アレルギーがさらに強くなって改憲の気運が吹き飛ばされてしまうことを危惧する。僕はイラク特措法には断固反対する。こんないい加減な状態で自衛隊が派遣されないことを願う。

« previous next »

^^back to top