2002-10-25
メディアとジャーナリズム
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北朝鮮に拉致され、殺害されたとされる横田めぐみの子供(先日、DNA鑑定で子供であることが確認された)キム・ヘギョンという15歳のあどけない女の子が朝日新聞・毎日新聞そして映像はフジテレビの独占で行われたインタビューを見る。言論の自由が100%ない全体主義国家 北朝鮮で行われたインタビューに期待する方がおかしいが、問題なのはそれをexclusiveとして放映したフジテレビと共同でインタビューした毎日新聞と朝日新聞の姿勢だ。
しかし、湾岸戦争時に一局だけバグダッドに残り、戦火をできうる範囲で取材したCNNが批難されたように、ここでスクープとして北朝鮮のプロパガンダを知りつつインタビューを行ったマスメディアを批判することは間違っていると思う。ジャーナリストであれば、その瞬間に立ち会うことを拒否することはできないし、拒否してはならないものだと思う。そしてそのプロパガンダを少しでも打ち破るような取材ができなければならないのだ。果たして今回の記者にその能力があったかどうかはまた別の問題だ。■
代議士暗殺
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職場でYahoo!を見ていたら、民主党の石井紘基衆議院議員が暴漢に襲われ死亡したというニュースを知る。石井紘基という名前からまず浮かんだのが石井 一の方だ。このおっさん亡くなったのかと思い、よく写真を見ると全然違う、あの深作欣二のただただagitateするだけの映画「バトル・ロワイヤル」を巡って2年前に深作と対峙、その映画が未成年に対して悪い影響があるとこれまたくだらん論調で映画を批難していた男だった。
正直、「バトル・ロワイヤル」なんて小説でも映画でもどうでもいい駄作だと思う。無軌道な若者を矯正させるために島に子供を集めて殺し合いさせるなんていう発想からして終わっている。どういう脳味噌の回路をしていたらそういう結論が引き出されるのかわからん。結局、その脆弱なストーリーの上に乗っかった深作欣二の映画は表立って反対する必要性もないものだったのだ。
その映画公開の中止を求めた石井紘基は道化に過ぎなかった。フィクションとしての表現の自由はいくらその作品が野蛮で嫌悪感を抱かせるものであれ規制することは許されない。この基本原則すら理解し得ない男、それが石井紘基だった。
彼のwebサイトの表紙には自分はこんな議員だと恥ずかしげもなく曰っている:
- 国をダメにした利権政治と闘っています。
- 社会的に弱い者の立場に立つ庶民の政治家です。
- ムダな公共事業(利権に蝕まれた)による自然破壊は許しません。
- 「すべての世代にとって生きがいある社会」実現のための再構築をおこないます。
- 軍拡に反対し、平和と文化を守る国づくりのために日々努力しています。
- "実行"と"実現"の政治家です。
これは痛い。実際に彼は政・官・業の癒着問題を深く掘り下げ、訴えてきた男のようだが、なんだか都合のいい言葉を並べ立てる詐欺師みたいな政治家に聞こえる。日本新党から立候補する前は社民連の江田五月の秘書をしていたようだし。経歴的には成城学園に通ったお坊っちゃん、しかし、賢いことは賢い、そんな男だ。
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戦後、日本の政治家の暗殺といえば、社会党委員長 浅沼稲次郎が盲目に純粋に右翼の民族主義に感化され、赤尾敏の愛国党党員となった山口二也に演説中刺殺された事件が思い出される。この暗殺事件を描いたノンフィクション「テロルの決算」は沢木耕太郎の出世作にして最高傑作だと思う。「深夜特急」は紀行記としては日本で最も愉快で奥深い作品だと思うが。個人的には朝日新聞に連載されていた「彼らの流儀」も好きだが。しかし、彼はフィクションを書くようになってから輝きを失った。少なくとも僕のなかにはすでに彼への関心はかなり薄れてしまった。
この「テロルの決算」でも書かれているように、浅沼は山口二也が考えるほど、いや、山口二也は基本的な右翼構成員と違い、頭は悪くはないのに自分の頭で考えることを放棄していたのだが、彼の思うほど親ソであった社会党の危険人物ではなかった。山口二也が盲目的に愛国党の極右思想に惹かれたように、農村出身の浅沼が確たる思想があって社会主義を信奉したわけではなかったのだ。そして山口は間違ったときに、間違った場所で、間違った思想から、間違った人物を刺殺するという凶行に至ったのだ。
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石井紘基が殺害されたことで、いろいろと闇社会の影を指摘する者もいる。しかし、現時点での報道だと金銭トラブルがあった右翼構成員の血迷った犯行である可能性が高いようだ。2ちゃんねるだと相変わらず馬鹿が朝鮮人とか在日の犯行とか書き立てているが、私怨という極めてつまらない理由で殺されてしまったのかもしれない。これではassasination 「暗殺」 とは言えないかもしれない。
仮にこれが政治的な意図に満ちた暗殺だったとする。山口二也が浅沼稲次郎を刃にかけたように、僕には石井紘基は殺されるだけの政治家であったとはとても思えない。しかし、どちらにせよそれは絶対に許されることではない。自由主義社会であっては決してあってはならないもののひとつだ。曲がりなりにも言論を中心とした議会制民主主義の下、気に食わない者を殺すという行為は殺される対象がどんなに醜い思想を持っていても、どんなに邪悪な考えを抱いていたとしても殺してはならない。僕らは言葉とともに生きている。その言葉を否定し、暴力に訴える行為は許されることではないのだ。■
今日の気分
なんか考えるだけで嫌になることがひとつふたつあるが、どこか遠くに出かけ、その問題から逃避したい気持ちに駆られる。しかし、金がないからそれもできない。だからひとまず本を読む。本を読む気になれなければ、怒りと悲しみに身を任せ、物を書き続けるのだ。■
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