2002-09-23
ドイツ総選挙
ドイツ総選挙。シュローダー率いるSPD=緑の党連合が最小のマージンでシュトイバー率いるCDU/CSU連合を破った。シュローダーが首相になってドイツ経済は低成長率に喘ぎ、高失業率は相変わらずだ。しかし、アメリカのイラク攻撃を断固として拒否したシュローダーが勝ち、支持したシュトイバーは敗れた。今回、経済より政治を選んだツケはじりじりとドイツ経済を追い詰めていくことだろう(喜んではいないよ)。■
民主党代表選
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一方、日本では民主党の代表選。鳩山由起夫(55歳とは若い方だが、そんな歳には見えないなぁ)が再選、結局、何も変わらない。まぁ、党の金を使って全日空ホテルで愛人とやるような菅直人が選ばれなかったのは幸いだが。若手代表として野田佳彦が出馬したが、あの顔と認知度では駄目だろう。どうして枝野幸男のような賢そうで認知度もまぁまぁの若手が出馬しないのか?海江田万里でもよさそうな気がするが。横路のような社会主義者はこの敗北を持って素直に過ちを認めて民主党が一枚岩のまともな政党になるのを邪魔しないようにするか、消えるかしてほしいところだ。■
吉本ばなな - キッチン
僕は男性作家の本はかなり読むが、女性作家の本となると殆ど読んだことがない。女性で好きな作家は誰と訊かれれば、「マークスの山」でメジャーになった高村薫ぐらいかもしれない。彼女の作品では「照柿」も「レディ・ジョーカー」も面白かった。しかし、彼女の作風は限りなく男に近い。だから彼女のものだけはまともに読めたのかもしれない。
吉本ばななについても僕は短篇集「とかげ」以外、読んだことがなかった。あまり読みたいと感じられなかったのだ。彼女の父である哲学者 吉本隆明があまり好きになれなかったこと、彼女のことを京大出身者と勘違いしていたこと(実際は日本大学芸術学部文藝学科卒業だった)、あまりかわいくなかったこと(林真理子なんてどうなるんだ)など彼女を避けてきた理由はいろいろある。そしてどれもどうでもいい理由だった。
それが先日、本屋でぶらぶらしていたら「キッチン」の新潮文庫版が目に入った。シンプルな装丁に惹かれたこともあるのだが、文庫本で安いし、ちょっくら読んでみようと考えた。買うとすぐに帰りの地下鉄のなかで本を開いた。素晴らしいスタートだった。どんな小説も書き物もスタートが肝腎だ。どれだけいい本を書けたとしても、最初の文章が駄目だったらどうしようもないのだ。
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私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。
小説はこんな書き出しで始まる。祖母を失ったばかりの台所が好きな女の子。そのために家を出ていかなければならなくなった彼女がテンポラリに居着くこととなった知り合いの家族。その家のお母さんがゲイで、本当はその家の息子雄一の父親だったことを知ったとき、僕は打ちのめされたかのような衝撃を受けた。予想にもできなかったストーリー。「とかげ」を読んで吉本ばななの文章の巧さになるほど(評価されるわけだ)と思った僕は吉本ばななのストーリーテラーとしての才能をここに感じた。
しかし、話の流れが大体決まってくると僕はこの小説に身が入らなくなる。女性が書いているからなのか、彼女の文章・文体が気になってきたのだ。特に会話に違和感を感じ始める。そして主人公とその相手の男もまた学生であることが僕に「キッチン」の世界への入り口を閉ざす。どうしても子供じみた話に感じられてくるのだ。
このnovella (= short novel)は落としどころがないまますっと終わりを迎える。そして、あとには「満月−キッチン2」という短い小説が待っていた。このnovellaもふたたび素晴らしいスタートを切る。
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秋の終わり、えり子さんが死んだ。
えり子さんとは雄一のお母さん(お父さんでもある)のことだ。ここで僕はまたこの小説に引き戻された。しかしそれも長く続かない。惹かれ合いながらも友人以上の関係になることがなかったふたりが彼女(彼)の死によって結びつくべくして結びつく。真夜中に主人公の女の子がかつ丼を雄一にタクシーを使って届けに行くというドラマはこの小説のなかにあったが、そのドラマ(人間劇)は残念ながらテレビドラマにありがちな薄っぺらなドラマに過ぎない。結局、ドラマが希薄なのだ。
悪い本ではないと思う。吉本ばなながこの本を書いたのは彼女が学生の頃だ。新人の作品としては申し分のないものだろう。僕は嫉妬しているだけかもしれない。しかし、彼女の小説は、少なくともこの「キッチン」という小説はどうも僕の心に馴染んでこないのだ。さらっとした印象を受けるのだが、読んでいて居心地が悪いのだ。彼女が女性だからという理由でないことを願う。■
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